ブログ

シリーズ工房訪問 「京からかみ」のあゆみ

2021/12/28

注)魅力的な伝統的工芸品「京からかみ」をご紹介する記事の第2編です。第1編については前編をご参照下さい。

第1編はこちらから シリーズ工房訪問 株式会社丸二 京からかみ製造工房

前回投稿でご紹介した「丸二」さんへの訪問記事を読まれて、読者の皆さんは「京からかみ」の歴史が日本でどのように刻まれてきたのかお知りになりたいのではないかと思います。

からかみは文字通り「中国・唐の紙」ということになり、このような紙への装飾技術は奈良時代(8世紀)に中国「唐」から日本に(遣唐使によって)伝えられたとされる史実で裏付けされています。唐紙は平安京(現京都)の朝廷貴族の人たちの間ですぐに広まることになりました。唐紙は当初、和歌などを詠う時に使われましたがその後、襖や障子の装飾用の紙としても使われるようになりました。

唐紙の最も古い文様は、当時の貴族文化の「美学・美意識」が反映されたもので、その中には唐草模様、植物や花の柄、波や雲もまた、同様にモチーフとされました。戦国時代に人気のあったものは、侍社会・侍文化を象徴とする「権威や厳格さ」をかたちどる幾何学的な文様や松が使われるものもありました。

「京からかみ」は江戸時代(1603-1868)になるとより一般大衆に広まることになります。江戸(現東京)の商人や庶民の好みに応えるように、江戸でも作られるようになりました。このような「からかみ」は「江戸唐紙」と呼ばれ「京からかみ」とは区別され「江戸唐紙」では「木版摺り」だけではなく「型紙 刷り込み様式摺り」や「金や銀」をちりばめるという新しい技法も付け加えられることになりました。

 現在の仕様では「京からかみ」の多くは住宅、茶室、お堂、神社仏閣などの日本的で伝統的な内装用品素材として使用されていますが、洋風の壁紙内装建材、文房具用品、さらには装飾を目的としたアート作品の材料としても活用されています。全ての「京からかみ」は一枚一枚手摺りで創作されており、それそれが個性的で、しかも人のぬくもりを感じさせてくれます。

 京都へお越しになると、ご自身でもご自宅の壁の装飾に使うことができる「京からかみ」の手摺り体験の機会に出会えます。さらにそれらの京都の古い伝統的工芸品との出会いは、忘れることの出来ない思い出になることでしょう。

予約についてのご相談はこちらから 京からかみ 丸二 

文・写真撮影 : Anastasiya Bulkavets (ArigatoCreative.co)

日本語翻訳 京都伝統産業ミュージアム 佐藤裕