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シリーズ工房訪問 京都:竹工芸士の逸品「竹工房 喜節」

2022/02/08

今日は作者のお気に入り工芸品のひとつである工房をお訪ねしています。京都の伝統工芸士の多くは、父や祖父の代から続く、つなぎ手の職人さんとしてキャリアを積んでおられます。細川秀章さんは東京で会社員として働かれた後、30歳で竹工芸士になることを決意されました。転職か?それにはかなりの勇気と覚悟が必要でした。京都伝統工芸大学校で2年間の集中講義を受けた後、竹工房「喜節」を開業し、現在は奥さんと息子さんと3人で暮らしておられます。

京都には8世紀の遷都以来、原材料が豊富であったことと竹の持つ強さと、使い勝手の良さという竹そのものが持つ性質により「竹工芸」が盛んでした。細川秀章さんはもともと茶道や華道の道具に使われていた竹籠を編む技術を得意とされています。「京の竹工芸」は今も守られている伝統的な文化的慣習・行事に使われていましたが、普段からこれらの機会に接する事が少ない人たちの目に多くは留まらないことから、他の多くの京都の伝統工芸品と同じように廃れてしまいました。

細川秀章さんは現代のライフスタイルに「竹工芸」を再生させる方法を模索と試作を繰り返し重ね、実用的でしかも美しい竹製のバッグを作る技をあみ出されました。細川秀章さんによれば、竹を細く割って編んでいく作業は、何年もかかるほど難しい技術が必要だそうです。工房の一角に置かれた長い京銘竹の竿だけを見ると、何工程も経て複雑な織りの竹工芸アクセサリーになるとは、とても想像することが出来ません。さあ、自分達の手で竹工芸制作をしたとしましょう。その竹の素材から工芸品へと生まれ変わるその成果品がどんなに満足のいくものになる変わっていくのか。読者の皆さんも簡単に想像にすることが出来るでしょう。

次回は、竹工房「喜節」とその魅力的な製品についてお伝えします。どうぞご期待ください。

細川秀章氏のアトリエを訪ね、京都の竹細工を体験される方は、こちらからご予約ください。

文・画像:Anastasiya Bulkavets (ArigatoCreative.co)

日本語翻訳:京都伝統産業ミュージアム 佐藤裕