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工房訪問シリーズ 京竹工芸職人 細川秀章氏に聞く

2022/02/22

細川さんの経歴を少し教えていただけますか。どのような経緯で現在のお仕事を選択されたのでしょうか?

20歳から31歳まで東京の会社で働いた後、2005年に京都伝統工芸大学校(現大学)に入学し、2年間竹工芸を学びました。(竹もの認定工芸士資格取得) 卒業後に竹工芸の仕事を始め、2011年に竹工房「喜節」をオープンし現在に至っています。

会社での仕事は、常に大きなプロジェクトの一部の歯車でしかなく、全体の中での自分自身の仕事の成果が理解しくかったのです。最初から最後まで仕事をやり遂げ、結果の善し悪しを直接自分で評価できる伝統工芸の道へ進みました。

職業・人生の歩みで遭遇された最大の挑戦・試練はどのようなものでしたか?

私はこれまでいろいろと苦労を重ねてきましたが、最初の問題は学校で習ったこと以外には、人的なネットワークが無かったことでした。製品を作る場所がない、どんな製品を作ればいいのか、また作った製品を売る販路がない。会社勤め以外のビジネス経験がなかったため、「ものづくり」だけでなく経理などの業務にも慣れる必要がありました。

ご自身の仕事のどんなところに惹かれておられますか?

「京銘竹」という自然の素材を使って、竹籠バッグというモダンな小物を作ることで、多くの人のお役に立つことができることにやりがいを感じています。

竹工芸創作でのインスピレーション・発想の源はどのようなものですか?

自分が作った竹籠バッグを見たお客さんの反応そのものが、私のインスピレーシ源ョンの源になっています。独りよがりにならず、常に使い手のお客様の意見に耳を傾けながら仕事をしています。多くの人に使ってもらい、喜んでいただける竹籠バッグを作るために、これはとても大切なことだと思っています。

ここ2、3年の出来事は、あなたの仕事や業界にどのような影響を及ぼしましたか?

国際都市・京都は訪日観光含む観光客に依存しているといっても過言ではなく、工房への訪問者や注文の減少により大きな影響を受けています。

しかし、このような状況でも、新たにホームページやインスタグラムのアカウントを開設し、これまで以上に広く自分の作品をアピールするようになり、インターネットを通じてつながることができるお客様も徐々に増えてきました。

2022年以降に向けて、当ブログの読者にどんな願いや励ましの言葉をかけていただけますか。

海外から訪日旅行にはまだ明るい見通しは立っていませんが、ぜひ本格的観光再開前のこの機会に、京都の工芸品について知っていただければありがたいと思います。

工芸品やデザインを愛するファンの方々に、細川さんの製品のおすすめポイントを教えていただけますか。愛用者の皆さんの生活にどのようなプラスの影響を提供できるとお考えですか?

技術の進歩により複雑な形状の製品は大量に、早く、安価に生産できるようになりました。しかし、もはや大量消費ではなく、心を込めて作られた製品が求められています。

私たち職人は、使ってくださる方のニーズに応え、作る喜びを感じることができるのです。
これからの世の中は、作り手も消費者も同じ目的や価値観を共有することで、本当の喜びが生まれるのではないかと考えています。

京都への訪問、京都の竹細工の技術を体験する予定がある方は、こちらへご相談ください。

https://www.kyotoartisans.jp/

インタビューと画像:Anastasiya Bulkavets (ArigatoCreative.co)

日本語翻訳・編集 京都伝統産業ミュージアム 佐藤裕