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伝統織物「金襴」 伝統工芸士 平居幹央氏インタビュー

2022/07/19

 これまでの職歴など、今日まで歩みについてお尋ねします。又、振り返っていただきどのようなことに影響を受けて現在の道を選択されたのでしょうか?

 職歴について申し上げます。1993年平居機業店(現有限会社 織匠平居)入社、現在に至っております。運命的な出会いは、北京の大学へ留学をした際に、当時伊万里焼の8代目と同じクラスになり、同じ日本の伝統工芸を生業にする者同士、伝統工芸士として家業を継ぐように強く勇気づけられたのが転機となりました。

 これまで職人としての歩みの中で、最もご苦労されたことはどのような事でしたでしょうか?

 職人としてお得意先に認めてもらえるだけの商品を織れるようになること。お得意先から仕事の打合せがあるときに、父に代わり話が出来るようになるための知識や信用を得ること。代々受け継がれてきた織匠平居の色(特徴)を受け継ぐことに腐心しました。

 ご自身のお仕事のどんなところに誇りをお持ちですか?

代々受け継がれてきた柄の配色、風合い、正確な寸法を織り上げる技術力です。 

 仕事を創造的にされる上でのインスピレーションの源(着眼点)とはどのようなものでしょうか?

常に(新しい)発想が出来るようにあらゆる事にアンテナを張り続けていることです。

 ここ数年間の出来事(パンデミック)はお仕事や業界にどのような影響を及ぼしたでしょうか?

袈裟用の裂を主に織っています。コロナでお寺に人が集まることが出来ない、またお寺での行事が無くなり、本山と呼ばれるお寺(例えば浄土真宗本願寺派の本山は西本願寺)での行事が無くなったため、全国から僧侶や門徒(檀家さん)が本山を訪ねることが出来なくなりました。それに伴いお寺さんの収入も激減し、新しいお袈裟を新調される機会もなくなりました。

 今後2、3年の計画や新たな目標について教えてください。実現されたいことをさしつかえければお教えください。

 海外への販路開拓を特にめざしています。

 伝統工芸品やデザインの愛好家の方々に、自社の作品や製品をお勧めされる理由をお聞かせください。人の生活にどのような好影響を与えることができるとお考えですか?

 機械織に比べてむっくりとした裂に織り上がること。また機械織に比べて小ロットでの製織が可能で、そのお客様のためだけに、唯一無二の1点もの(配色や技術面等でも)を織ることが出来ることです。

織匠平居さんの工房訪問と伝統織物「金襴」について触れ、学びたいとお考えの方の御予約はこちらからお願いいたします。 ☞ 織匠平居 

インタビュー・写真提供:ブルカヴェツ・アナスタシア (ArigatoCreative.co/jp)

日本語編集: 京都伝統産業ミュージアム 佐藤裕