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京都に伝統工芸が多い5つの理由

2022/04/19

読者の皆さん こんにちは。

京都には74品目もの伝統工芸品があることをご承知でしょうか?(ぜひ時間を見つけて一堂に74品目が見れる京都伝統産業ミュージアムへお越しください。)その数は他府県と比べてもかなり多いのですが、今日はその主な理由を5つご紹介したいと思います。読者の皆さんにもご理解いただきやすい理由と、きっとそうでないものとを。

1) 京都が果たした歴史的な役割。

まず最初に忘れてならないのは、この街が持つ歴史の重みです。現在の皇居は首都東京にありますが、794年から1868年までは天皇は京都にお住まいでした。そのため自然に全国から腕利きの職人が集まり、天皇やそのご家族、公家階級のお望みにお応えてしてきた積み重ねがあります。このような条件で、住居建築に関すること、衣類・衣服の織物に関すること、庭の手入れ、身の回りの生活用品や道具の製作には、自然と優れた技術を持つ職人や工房が選ばれてきたことは言うまでもありません。

2) 京都の祭り・季節の催し

すべての町衆の年中行事は、京都の職人さんの努力によって支えられています。欠かせない道具、装具類一式の備え、それらを伝え維持するという努力の賜物です。京都の三大祭(葵祭、祇園祭、時代祭)をはじめとして、京都の伝統工芸が無形文化遺産として表現され、守られ、それらを物質的な側面から伝統工芸品は支えてきました。

3)日本の主要な仏教宗派の本山

日本の美術品や工芸品は、時には朝廷や貴族以上に、お寺さんが大きなお得意様であったことをご存知でしょうか?今でも西陣織の工房の中には、お寺さんからの依頼だけで生業とするところがあります。京都とその近郊には浄土宗(東山・知恩院)や天台宗(比叡山・延暦寺)などの仏教宗派の総本山があります。

4)伝統文化発祥の地

茶道、華道、能、歌舞伎など、さまざまな文化分野の総本山も京都にあります。日本の伝統文化は、お互いにあらゆる側面で何らかの形でつながり、影響しあい、支え合っています。例えば、茶道の稽古には着物、陶器、お香など京都の伝統工芸品が多く使われています。これらの文化的な活動や習慣は、歴史的な時代の推移ともに、地場の工芸品やその技術に影響を与え続けられ、触発され、多様化されました。

5) 地理的な位置

そしてもうひとつは、古都の持つ地理的な背景、条件とその豊かな自然環境にあります。四季折々の自然に恵まれたこの街が、常に繊細で表情豊かなデザインの原点の創造を促してきました。また、天然資源も豊富で、酒造りに必要な地下水、陶磁器に必要になる多様な土、建築や手工芸に必要な竹など、手軽に利用することができます。

我々、京都工房コンシェルジュは世界中の皆さまの心身の平和と無事をお祈りしています。本当に大変で厳しい時勢です。こんな悪夢が過ぎ去り、またすぐにでも京都に皆様をお迎えし、隠れた魅力を皆様に発信しお伝えすることができることを心から願っています。

文・画像:Anastasiya Bulkavets (ArigatoCreative.co)

日本語翻訳:京都伝統産業ミュージアム 佐藤裕