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京焼・清水焼 蘇嶐窯(そりゅうがま)訪問

2023/08/08

読者の皆さま

 京都市内で最も有名な観光スポットのひとつである清水寺を訪れるなら、清水寺界隈の地元陶芸工房を訪ねる機会もぜひお忘れなきようにお願いします。

 今日は、その中でも京都清水の地に伝わる京焼青瓷(あおじ)と福岡の小石原焼(こいしわらやき)の伝統技術を融合させた工房「蘇嶐窯(そりゅうがま)」をご紹介しましよう。

 創造力が満ち溢れるこの工房は、ろくろによる最初の成形から、細心の注意を払って釉薬をかけ、焼成に至る工程までの、陶器作りのあらゆる段階が一貫して取り扱われています。

 「蘇嶐窯」の特徴のひとつはその独自の青磁釉(せいじゆう)にあります。この伝統技術は涌波家(わくなみけ)に代々受け継がれ守り受け継がれてきました。

 今日、この豊かな技術継承のバトンをつないでおられるのが、4代目の涌波蘇嶐(わくなみそりゅう)氏です。  歴史ある陶芸の里、福岡県小石原(こいしわら)町出身の太田まどか氏と結ばれてから、陶芸家としてのその歩みは大きな転機を迎えることになりました。まどか氏の涌波家へのお嫁入は、ただの結婚ではなく、その伝統を超え、 より絆を深めあうものとなりました。 

 実際、小石原は固有の焼き物の伝統を養っている地域です。小石原の機能的で日常的な陶器は、さまざまな技法を駆使した幾何学的なデザインが特徴です。刷毛目(はけめ)、鳶皮(とびかんな)、打掛(うちかけ)など、それぞれの手法がこれらの実用的な作品に独自の魅力を添えています。太田まどか氏は、小石原焼の世界で14代続く作陶家であり、その技術には豊かな伝統が息づいています。

 「蘇嶐窯」では、京焼青瓷(あおじ)と福岡の小石原焼の伝統的技法が見事に調和し、伝統の力強さと創造の可能性を証明しています。涌波蘇嶐氏と涌波まどか氏による献身的な制作活動や取り組みによって、京焼・清水焼の伝統は守られるだけでなく、更に活性化され、次の世代の人々の心をも魅了し続けています。

「蘇嶐窯」の作品と技術の魅力に迫る、次回の記事もぜひご期待ください。

 工房見学、陶芸技術の習得、体験などをご希望の方は、こちらからご予約ください:☞ 蘇嶐窯

文・写真提供: Anastasiya Bulkavets (ArigatoCreative.co)

編集・翻訳:京都伝統産業ミュージアム 佐藤裕