ブログ

京友禅 創造・創作者 藤井友子氏インタビュー

2022/06/21

 これまでの職歴など今日に至る歩みを教えてください。又、人生ではどのようなことに影響されて今の道を選択されたのでしょうか?

 私は一人っ子ということもあり、父から引き継ぐ形で今の仕事をしています。

 これまでのお仕事上の歩みの中で、最もご苦労をされたこととはどのようなものでしたでしょうか?

仕事を本格的に始めた頃は、呉服業界がどんどん厳しくなってきておりました。どんどん着物が着られなくなっているのに、呉服の世界が、市場や社会の考え方と乖離したままであることに疑問と危機感が増していき、ビジネススクールで他業界の人と話を聞いたり自分なりに考えて動くようになりました。また会社の中では長くアウエイで、しばらく一人で細々とできることを続けていく状況が続きました。

ご自身のお仕事のどんなところに誇りをお持ちですか?

手仕事の上質な着物は、次、またその次の世代に着ていただくことが可能です。日本の伝統工芸は日本の美意識と表裏一体であり、時代を繋いで作り続けていけることはとても幸せなことだと感じています。

仕事を創造的にされる中でインスピレーションの源(発想の原点)とはどのようなものでしょうか?

見るもの、体験するものが全て発想の原点になりますが、最近は反対に、創作に結びつけずにいることが大切なのではと思うようになっています。

ここ数年の出来事(コロナパンデミック)は、お仕事や業界にどのような影響を及ぼしましたでしょうか?

業界はとても厳しい状況です。私もコロナ禍の中での社長就任ということで、嵐の中での船出となり、普通の状況がわからないような感じです。

また、コロナ禍の時間、伝統的で、手仕事のものづくり、職人の仕事をどうやって繋いでいけばいいかを改めて考えるようになりました。 そして、これからは、作るだけ、売るだけではなく、時間をかけて誠実に本当にいいものを作る、という弊社の思い・哲学をお客様に伝えていくことが必要なのではと考えるようになりました。

今後2・3年の計画・目標について教えてください。実現されたいことを差し支えなければご教示ください。

上記のことから私たちが作ったものをその背景とともに直接お客様にお届けする、という形を新しく  「RITOFU」ブランドでチャレンジし、5月にアップしました。手仕事で生み出される日本の伝統的なクラフツマンシップを残していくためにも、これからも新しい取り組みを続けていきたいと考えています。

伝統工芸品やデザインを愛する方に、自社の作品や製品をお勧めされる理由をお聞かせください。人の生活にどのような好影響を与えることができるとお考えでしょうか?

伝統工芸というものは、私たちの美意識や価値観を、時代を超え過去と未来を繋ぐものであると考えます。弊社では、節目にふさわしいオーセンティックなブランド・日常を光輝かせ、なりたい自分になれる現代的で洗練されたブランドを展開し、人生の様々な場面で美しく幸せな気持ちになってもらえる着物、小物を製作しています。

インタビュー・写真提供:Anastasiya Bulkavets (ArigatoCreative.co)

翻訳・編集:京都伝統産業ミュージアム 佐藤裕