職人インタビュー

 

藤林良教藤源

●荘厳仏具を支えて17代

――とても歴史ある工房なんですね。
当代である父で17代目になります。詳細な創業年については定かではありませんが、室町時代には現在と同じく仏具の彫金を家業としていたようです。かつては七条通(現在の京都駅近辺)に仏具職人が多く工房を構えており「七条仏所」と呼ばれていました。うちも祖父の代に現在の場所に移転する前はその近くに工房を構えていました。

――彫金とはどのようなお仕事でしょうか。
文字通り、「金属」を「彫る」職人です。私たちがおもに使う道具は鏨。これを何種類も持ち替えて鋳物に柄や文様を彫り、浮かび上がらせます。鏨は必要に応じて自作することも多いので何本あるかはわかりませんね。手元に置いてよく使うものだけでも数百本はあるんじゃないでしょうか。

――藤源さんでつくる仏具はどのようなものがあるんですか?
お寺にはたくさんの金属工芸品がありますが、うちでは「具足」と総称される「香炉」「花立て」「燭台」を手がけることが多いですね。

●専門職が支える京都の仏具の世界

――各宗派本山が集まる京都は、仏具製造の本場でもありますね。
京都の仏具の良さはやはりすべての工程を手仕事で仕上げていく丁寧さでしょうね。各工程に特化した職人が分業して高い品質を目指すのはもちろん、宗派ごとの厳密な決まりごとを守り伝えているところも特色です。

――ひとくちに「仏具」と言っても、宗派ごとに違いがあるんですね。
仏具は宗派ごとに意匠や色が細かく異なります。また、特定の宗派でしか使わない仏具も存在します。ですので、京都の仏具職人は特定の宗派を専門に仕事をしているところも少なくないんですよ。うちは真宗大谷派(東本願寺)を中心にお仕事をさせて頂いています。

●技術を繋ぐために

――仏具の彫金には幅広い技法がありますが、どのようにして技術を習得されたんですか?
私の場合は、50年以上のキャリアがある父と一緒に仕事をしてきたことがとても恵まれていました。父が培ってきた技術だけではなく、経験や知恵なども教わってきました。また、工房には歴代の道具や資料などが残っていますから、過去の仕事に学ぶこともできました。

――手仕事の未来についてどのようにお考えですか?
仏具に限らず、京都の金属工芸の業界には同世代の職人さんが多く、業種の垣根を越えて励まし合っています。若手と呼ばれる私たちにとっては厳しい時代ではありますが、これからの次代に求められる工芸を皆で考えていきたいと思っています。

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