職人インタビュー

 

八田俊昇苑くみひも

●組紐の新たな需要を拓く

――組紐の歴史は古く縄文時代に遡るそうですね。
文字通り糸を組み合わせてつくる原始的な手仕事ですからね。同様の紐は世界中で同時多発的に誕生していたのでしょう。日本では奈良時代前後に大陸からさまざまな技法がもたらされ幅広い表現が生まれました。現在、組紐には3,000種類を越える組み方があると言われています。

――和装の帯締めなど、日本の装いの名脇役というイメージです。
用途に応じて伸縮するため使い勝手が良く、古くから仏具や茶道具、武具などに多用されました。華やかな組紐には主役を引き立てる高級感がありますね。
用途が似ているため「真田紐」と混同されることも多いのですがあちらは織物。製法と構造がまったく違うんですよ。

――御社は一貫製作で組紐を手がけておられるんですね。
うちの工房では、「糸染め」「組み」「結び」「仕上げ」までの全行程をすべておこなっています。通常、これらの作業は分業するのが一般的ですので、一貫製作しているのは全国でもうちだけなんですよ。糸の準備工程から手がけていますので、配色や組み方などの細かい注文にも速やかに対応できるのが強みですね。色糸は正絹64色、化繊40色以上を常時準備しています。手組と機械組の両方に対応可能ですので、試作品から量産までをカバーできます。

●伝統の技を日常に

――伝統的な用途以外の分野も積極的に展開されていますね。
ストラップやアクセサリーなどの小物は古くから組紐の本領ですからね。現代の感覚に合うように配色やデザインを考えて商品化しています。こうした商品から組紐の「伝統」や「文化」などに関心を持ってもらえるとうれしいですね。
また、異業種のメーカーさんからのご要望に応じて組紐をご用意する注文製作も多く承っています。腕時計のベルトの製作では、伝統的な組み方と現代的な配色、加えて日用に耐えうる強さを目指しました。

――伝統の技を守りながら、異業種の需要にも対応されているんですね。
「伝統産業」にはめずらしく、これまでに自動車、飲料、ファッション、ジュエリー、家電など、とても幅広い業界の皆様とお付き合いをさせていただいてきました。難しいのは、伝統産業の美しさを高めながらも、耐久性や汎用性をどのように保つか、ということ。
うちは職人が働く小さな工房ですので大メーカーのような大量生産体制は敷けませんが、手仕事の良さを活かしながら、さまざまな業種の需要に応じてきました。今後も組紐の新しい可能性を拓くものづくりを続けていきたいと思っています。

職人紹介

八田 俊/Shun Hatta

八田 俊/Shun Hatta

プロフィール

昭和58年 京都市生まれ
平成14年 近畿大学経済学部入学
平成18年 大学を卒業後様々な活動を通じてモノヅクリに触れ合う
平成23年 昇苑くみひもに入社
主に製紐機による組紐製造に携わる。
平成27年 営業部に所属。
現場の知識を元に、新規企画や商品開発、営業活動との両立をめざす。